− 介護保険の現場@ ケアマネージャー −

介護サーピス計画(ケアプラン)はケアマネージャー

 これまで介護は家族の手で行われてきましたが、最近は高齢者だけの世帯が増えたうえに、家族だけで介護を続けることが難しい状況になってきています。
「介護保険」は、高齢者が自立した生活を送るために、介護が必要になったときに介護サービスを受けながら生活できるようみんなで支え合う制度です。
今回は、本人や家族の依頼にもとづいて介護サーピス計画(ケアプラン)を作成し、介護サービス事業所との連絡調整を行う専門家『介護支援専門員(ケアマネージャー)』について実例を交えて紹介します。

 

Aさん(83歳・女生)が介護保険サービスを受けるまで
家族 「母が脳梗塞で倒れて寝たきりになってしまいました。お風呂も自分たちでは入れられないし、ベッドや車いすも借りたいと思い、市役所に相談しました。そこで、介護保険のサーピスを使うためには、市の認定を受けるとともに、ケアマネージャーにケアプランを立ててもらうことが必要だといわれました」。
Aさんの家族が、B居宅介護支援事業所に問い合わせたところ、依頼を受けたケアマネージャーがAさんの自宅を訪れました…
ケアマネージャー 「Aさんやご家族はどうされたいとお考えですか?」
Aさん 「私は病院や施設には入りたくない。家にずっといたいんです」
家族 「できる限り、家で介護したいと思います。しかし、昼間は働いていて母の世話ができないので、ヘルパーさんを頼みたいと思っています。昼休みには家に戻って昼食の世話ができるのですが…。それから、往診の先生や看護婦さんにも来てもらえると安心なのですが…」
ケアマネージャー 「仮に『要介護4』の認定を受けられれば、1か月に30万6千円以内でいろいろな介護サービスを利用することができます。ただし、1割は本人負担です。ケアプランを考えましょう」
家族 ヘルパーさんは女の人をお願いします。車いすも折りたためるものがいいですね」
Aさん 「歩けるようになったら、暖かい日は近所を散歩したいです」
ケアマネージャー 「車いすは体に合った軽いものを選びましょう。歩けるようになるために、訪問リハビリも利用できますよ。介護サービスの業者もレンタルの福祉用具などを選ぶのも利用者自身です。わからないことがあれば遠慮なく聞いてくださいね」
この後、ケアマネージャーが中心になって、本人・家族・介護サービス事業者との細かいサービス内容の確認と調整を行い介護サービスが開始されました。
また、ケアマネージャーは定期的に家庭を訪問し、利用者の状態や希望どおりのサービスが受けられているかどうか、計画の見直しや変更などを含めて専門的な立場で指導します。

 

病気・けが・老化などが原因で、介護や家事・身支度などの日常生活に支援が必要になったときに、利用者がどんな生活をしたいのか、家族とともに考え、希望する生活を実現するために必要な介護サービスを提案するのがケアマネージャーです。
例えば、「今は、週に一度、水曜日にデイケアに通っているだけですが、仲よしの隣のCさんが通っているデイサービスにもいっしょに通ってみたい」「もう少し本格的なリハビリを受けたい」「妻の介護疲れが目立つの'で少し休養させたい」「入所している施設に不満がある」など家庭によって、さまざまな事情や希望があると思います。それらを伝えていただき、快適な介護環境づくりのお手伝いができればと考えています。